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H15.11 「咀嚼」するということ

伊藤歯科医院  院長 伊藤 成章

 まず、私が体験したことをお話します。
 それは一昨年の晩秋、「総入れ歯だけどぜんぜん食べられないし、動けないから往診して欲しい」とのことでした。早速往診しますと、その方はコタツに足を入れ横になっておられました。口の中は普通の状態だったので、布団を背もたれの代わりにし、奥さんの手で頭を固定してもらって、上下顎の型を取りました。通常通りに作って、十数日後にセットし、後一度だけ調整して終わりました。
 その時、「入れ歯の安定と噛み合せがうまくいったので、これで何でも食べれますよ。しっかり食べて元気になってね」と言って帰りました。以降仕事に追われ、すっかり忘れていたところ、翌年の秋に1人の老人が「食べてくれ」と10㎏入りの米袋を下さいました。よく見ると、その方はあの時に寝たきりで入れ歯を入れた人で、その後足腰もすっかりよくなり元気に働いているとのことでした。
 これは、「よく噛む」(よく噛めれる)」ことが、健康のためにいかに重要なことかを知る1つの例です。「咀嚼」の働きを、具体的に説明します。
  1. 食べ物を細かく噛み砕き、「だ液」と混ぜる。−このことは、胃腸での消化を良くし「だ液」中のある酵素が食べ物に含まれる毒素の働きを抑制し、結果として感染の予防、ガンの予防に働く。
  2. 「だ液」が多く出ると「だ液腺ホルモン」も多く出て成人病の予防と老化、ボケの予防に働く。
  3. 自律神経の調整が進んで緒不快症状が改善され、結果として老化、肥満の防止となる。
  4. 脳を活性化し、知能の発育と活性化、情緒の発達、運動神経の活性化、瞬発力の増強などに寄与する。
  5. 審美的効果として、元気そうな若々しい顔になる。
  6. 精神的な効果として、何でも食べられるという満足感と食生活への自信ができ、生きる意識が増進するなどが考えられます。

 以上のように、全身の健康維持に重要な役割を果たす「咀嚼」をするためには、普段から歯を大切にしていただき、高齢になっても自分の歯を一本でも多く残して頂くことが大切です。多くの方が「80-20」を達成し、よく食べ、よく噛んで、健康で充実した人生を送ってもらいたいものです



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