|
H13.7 「歯のけが」について
近藤歯科医院(駒場) 近藤 英夫
歯のけがには、歯が折れたりぐらついたり、あるいは抜け落ちたりするもの(脱落)があります。その中で、最も緊急度が高いのが歯の脱落です。
脱落は、すぐに手当てをすれば歯を助けることができます。この場合、歯根の細胞が生きていることが重要となります。
つまり、歯科医院に行くまでに最も良い方法は、歯を自分で元に戻してみることです。ただし、地面などに落ちた場合は水道水で洗ってから戻します。水道水で洗うのは、歯根膜死んでしまうのを防ぐために30秒以内としてください。元に戻せない場合は、歯を口の中(唇と歯ぐきの間)で保存します。そして、牛乳があれば、牛乳に入れてできるだけ早く受診してください。もし歯根膜が感想などによって死んでしまった場合、再殖は可能ですが、数年後には歯根の吸収によって脱落してしまうため、正しい応急処置と早い手当てが重要となります。
歯がぐらついて歯の位置がずれていたりした場合には、正しい位置に押し戻して、飲み込まないように気をつけて、少なくとも3日以内に手当てを受けてください。
はのけがで最も多いのが歯の破折です。
折れた部位や範囲によって、尖った角を少し削って丸めるだけの場合から白いプラスチック (接着性レジン)で破折片を接着したり、あるいは歯髄(神経)を残せない場合にはそれをとってからかぶせたりします。歯根の割れ方によっては歯を残せない場合もあります。できるだけ歯の歯髄を守るために、1日以内に受診するのが最良です。折れた破片は水に浸けたまま受診の際に持参してください。
また、歯を打って、その時は何も異常に気づかないのに、しばらくして歯が黒く変色してくる場合があります。これは、歯の神経が死んでしまったことを意味しています。放っておくと感染を起こして歯根の先に病巣ができて膿がたまったり、乳歯の場合は骨の中にできつつある永久歯に悪影響を与えて、永久歯が変形して生えてきたり、正しい位置に生えてこない場合があるので、注意が必要です。
|