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H14.7 呼吸器と病気
水野歯科医院(苗木) 水野 信介
ようやく、花粉症の季節も過ぎ、鼻づまりなどの不快な症状から開放されて、胸をなでおろしている方も多いことと思います。
花粉症や風邪による鼻炎、蓄膿症、アデノイドなどにかかると、鼻で息をしにくくなり、口で呼吸をするようになりがちです。
通常、私達は鼻で息をしています。鼻から呼吸をすることで、空気の汚れが取り除かれ、また適度に温められたり、冷やされたり、加湿されたりして、体にちょうど良い状態の空気にして肺に送り込まれます。
口から息をすると、これらの働きが不十分となるだけでなく、口や歯にとっても、大変都合の悪いことなのです。口で息をしていると口の周りが乾燥し、唇に亀裂が入って出血しやすくなります。
また、歯に付着した歯垢が乾燥し、こびりついて虫歯や口臭の原因にもなります。口の中の歯肉や粘膜も乾燥した状態になり、歯肉の抵抗力が弱くなって炎症が起きやすくなるほど、歯周病の原因にもなります。
特に、乳歯と永久歯が入れ替わる発育期の子供さんの場合には、いつも口で息をしていると上下の唇が開いたままの状態になり、物を飲み込むときに、口の中の圧力が低下せず、飲み込めませんので、舌を前方に押し出して隙間をふさぐ動作をするようになります。この状態が続くと上下の前歯が前方に押されて出たり、上下の歯の間に隙間が開いて、噛み合わなくなるなどの顎の変形や歯並びの乱れを引き起こすことがあります。
いったん顎の形が変ると、口から呼吸をしなくなっても自然に治ることはありません。治すためには、口の中や歯に金具や針金を長期間に渡って付けるなどの処置が必要になります。
もし、お子さんがいつも口で息をしているようであれば、一度耳鼻科や歯科で相談されることをおすすめします。
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